子どもが独立して、夫婦二人だけの生活になってから、
「家の中って、こんなに広かったのか」と思うことが増えました。
長年の暮らしで少しずつ増えたモノたち。
それらを少しずつ手放していくうちに気づいたのは、
**“少ないことで、かえって豊かに感じられる”**ということでした。
今回は、わたしたち夫婦が実践している「コンパクトな暮らしの工夫」をご紹介します。
モノを減らすのは「我慢」ではなく「選ぶこと」

片づけや整理整頓というと、“捨てる勇気”のような言葉をよく聞きます。
でも私たちは、捨てることよりも「残すものを選ぶ」ことを意識しています。
思い出のある食器、使いやすい道具、手になじむ衣類。
それらを丁寧に選んで残していくと、自然とモノが減っていくのです。
“減らす”よりも“選ぶ”。
その視点で暮らしを見直すと、心がぐっと穏やかになります。
「置き場所を決める」だけで暮らしが整う
二人暮らしになってからは、
「片づけ」よりも「モノの居場所づくり」を大事にしています。
●よく使うモノは取りやすい位置に
●滅多に使わないモノはまとめて収納
●テーブルの上は“何も置かない”を基本に
たったこれだけでも、生活動線がすっきりして、
家の中が驚くほど広く感じられるようになりました。
家事もラクになり、「どこにある?」と探す時間も減少。
“整った空間”は、気持ちを落ち着かせてくれます。
家具や家電も“ちょうどいいサイズ”を選ぶ
家族が多かった頃に買った大きな家具や家電。
二人暮らしには少し持て余すようになってきます。
思い切ってコンパクトサイズに変えると、
生活全体がぐっと軽くなりました。
冷蔵庫は中型に、ソファは二人掛けに。
炊飯器も2合炊きで十分。
必要な分だけを持つことで、スペースも気持ちもゆとりが生まれます。
「少し小さく」が、今の私たちには心地よいバランスです。
「見せる収納」より「隠す収納」で安心感を
若いころは、雑誌で見たような“見せる収納”に憧れたこともありました。
でも今は、視界に入る情報を減らすほうが落ち着くと感じます。
●扉付きの棚を活用
●キッチンの小物はトレーにまとめて引き出しへ
●リビングの棚はなるべく空けておく
何もない空間に光が差し込むと、それだけで気分がすっきり。
「片づいている」という安心感が、日々の心を整えてくれます。
服は「お気に入りだけ」を手元に
クローゼットを開けたとき、「何を着ようか」と迷う時間が減りました。
その理由は、服を“厳選”したからです。
季節ごとに本当に着る服だけを残し、
もう着なくなった服は感謝して手放しました。
枚数は減ったのに、コーディネートの満足度は上がる。
「好きな服しかない」という状態は、想像以上に快適です。
掃除をラクにする“減らす工夫”

コンパクトな暮らしにしてよかったと思う瞬間は、掃除のとき。
床にモノが少ないだけで、掃除機がけがあっという間に終わります。
●カーペットを減らす
●テーブル下には何も置かない
●家電コードを束ねてスッキリ
“掃除のしやすさ”を意識してレイアウトを見直すと、
日々の手間も減り、家をきれいに保ちやすくなります。
「なくても困らない」ものを探してみる
あると便利だけど、なくても暮らせるもの。
そういうモノを少しずつ減らしていくと、
家も心も軽くなっていきます。
新聞はデジタルで読むようにし、
来客用の食器は最小限に。
キッチン家電も「毎日使うかどうか」で選ぶようにしました。
“なくても大丈夫”を見つけるたびに、
「自分たちにちょうどいい暮らし」に近づいていく感覚があります。
空いたスペースに「ゆとり」を置く
モノを減らしてできた空間には、
あえて何も置かないようにしています。
空いた棚に花を一輪、
テーブルの上にお気に入りのカップ、
窓辺に小さな観葉植物。
「空間に余白がある」ことで、
心にも余裕が生まれるのを感じます。
家の中に“静けさ”が戻ってくるような、そんな感覚です。
おわりに:小さく暮らすほど、豊かになる
モノが減ると、時間が増えます。
探す時間、片づける時間、迷う時間——それらが少しずつ減って、
代わりに「ゆっくりお茶を飲む時間」が増えました。
コンパクトな暮らしは、不便になるどころか、
自分たちのペースで暮らす自由をくれます。
“持たない”ことは、”諦める”ことではなく、
“今を大切にする”こと。
これからも、二人で無理のないコンパクトな暮らしを楽しみながら、
「ちょうどいい幸せ」を積み重ねていきたいと思います。

