年を重ねるごとに、季節の移ろいをより深く感じるようになりました。
若いころは仕事や家事に追われて、気づけば春が終わっていた——なんてことも。
今は、ひとつ季節が巡るたびに、「今年もまたこの風が吹いたね」と夫婦で話します。
暮らしの中に小さな季節の楽しみを取り入れると、
毎日が少しずつ、やわらかく色づいていきます。
春：外の空気を取り入れて、暮らしをリフレッシュ
春になると、窓を開けて空気を入れ替えるのがわが家の習慣。
冬の間にこもっていた空気が動くと、それだけで気持ちまで軽くなります。
「今日は風が気持ちいいね」
「庭の木に新芽が出てきたよ」
そんな会話を交わしながら、少しずつ部屋の模様替えも。
カーテンを明るい色に変えたり、クッションカバーを春色にしたり。
小さな変化が、日常を新しくしてくれます。
ベランダにはプランターを置いて、季節の花をひと鉢だけ。
チューリップやパンジーが咲くと、それだけで春の香りが部屋に広がります。
夏：涼を感じる工夫で、穏やかに過ごす
暑い夏の日、できるだけ涼しく、快適に過ごすための工夫をしています。
窓辺にはすだれを掛け、カーテンを風通しのよい素材に。
テーブルの上には、ガラスの器に涼しげなビー玉を入れて飾ります。
「見た目の涼しさ」も、体感を和らげてくれるものです。
昼間はエアコンに頼りすぎず、朝晩の涼しい時間を上手に使う。
早朝に散歩をしたり、夕方にベランダで風を感じたり。
自然のリズムに合わせて暮らすと、体も心も穏やかに保てます。
そして、夏の楽しみといえば「冷たい麺」。
そうめんや冷やし中華を二人で並べるだけでも、立派なごちそうです。
秋：色づく季節を、目と心で味わう
秋は、外に出るのがいちばん楽しい季節。
紅葉を見に出かけたり、散歩の途中で落ち葉を拾ったり。
少し冷たい風を感じながら歩くと、「またこの季節が来たな」と実感します。
家の中でも秋を感じる工夫をしています。
テーブルクロスを落ち着いた色に変えたり、
玄関に木の実やドライフラワーを飾ったり。
料理も旬の味覚を意識して、
さつまいもごはん、きのこの味噌汁、りんごのデザートなど。
季節を感じる食卓は、二人の会話を自然と温かくしてくれます。
冬：あたたかさを分け合う時間を大切に
冬は、家の中で過ごす時間が長くなる季節。
だからこそ、“ぬくもり”を感じる工夫をしています。
こたつを出して、ブランケットを掛けて。
夫は新聞を読み、私はみかんをむく。
そんな何気ない時間が、一番のあたたかさです。
照明もポイント。
間接照明やキャンドル風ライトを使うと、
夜の部屋がやさしい光に包まれ、心までほっとします。
夜は湯たんぽを入れて早めに布団へ。
冷たい空気の中で、二人で温まりながら眠りにつく。
そんな冬の静けさも、また幸せのひとつです。
季節の「香り」と「音」を暮らしに取り入れる
季節を感じるのは、目で見ることだけではありません。
香りや音も、暮らしを豊かにしてくれます。
春の柔らかな風の香り、夏の夕立の匂い、秋の焚き火の煙、冬の温かいお茶の湯気。
そうした“香りの記憶”が、季節を教えてくれます。
また、音も大切です。
風鈴の音、虫の声、落ち葉を踏む音、ストーブのパチパチという音。
それらを感じ取るだけで、心が四季に寄り添っていくように思います。
季節ごとの「小さな楽しみ」を見つける
季節を感じるには、大きなイベントはいりません。
日々の中に“小さな楽しみ”を持つだけで十分です。
●春：近所の桜を見に散歩
●夏：冷たい麦茶を用意して昼下がりの休憩
●秋：お気に入りのマグカップで読書
●冬：あたたかい毛布にくるまって映画鑑賞
そんなささやかな時間が、二人暮らしをゆっくり彩ってくれます。
おわりに：四季のリズムが、心のリズムになる
季節の変化を感じるたびに、
「今年もまたこの景色を一緒に見られた」という喜びが湧いてきます。
派手なイベントや遠出をしなくても、
自然の変化を感じながら暮らすことで、毎日が豊かになる。
春夏秋冬のリズムに寄り添って生きることは、
自分たちのペースを大切にすることでもあります。
これからも、季節の風を感じながら、
「今この瞬間」を丁寧に味わっていきたいと思います。
